こっちに書く

基本的に偏りが少ないと自分で思ってる私が来ましたよ(いらないって言わないで)。考え方は意外とニュートラルだと思ってるので、殿下が書かれたこと(@殿下執務室http://mdenka.blog85.fc2.com/blog-entry-939.html)に触発されて何か書いてみようと。内容は数段劣りますが。


さて、まず私は06年が海外遠征におけるターニングポイントであったと書いていらっしゃるりあるさん(@りあるの競馬日記http://d.hatena.ne.jp/realtotheworld/20061210/1165770158)と同意見です。その上で、まずは「海外遠征に関する今年よりも一つ前のターニングポイントはどこか」という問題を提起したいと考えます。これは香港でのG1の3連勝の年(2001年)なのだろうと考えております。この3連勝によって「香港なんか普通に勝てるじゃん」みたいな空気が漂ったというのも勿論ありますが、その実、海の向こうでもデットーリだったかの発言「日本馬を負かすには一線級を連れて来なきゃだめだよ」や「この勝利によって欧州、北米、日本という三極状態を迎えるかもしれない」なんて記事もあった位(うろ覚え)ですし、この3連勝というのは日本側のターニングポイントというよりもむしろ「日本馬を負かそうと思ったら一線級を連れてこないと厳しいかもねぇ」と諸外国に認識させた、日本馬の強さというのを認めさせたという面でのターニングポイントだと思います。まずこれが表の理由としましょうか。

これだけならばシーキングザパールタイキシャトルアグネスワールドエルコンドルパサーなどの活躍(98〜00年)もあったじゃんということもあるかとは思いますが、01年の場合は「内国産馬の活躍」というのが大きいのだろうと考えます。先程名前の挙がった4頭はすべて外国産馬です。それに対して01年の場合、トゥザヴィクトリーステイゴールドという2頭の内国産馬のドバイでの活躍がまずあったこと、暮れの香港3連勝というのはエイシンプレストンステイゴールドアグネスデジタルの3頭によるもの。エイシンプレストンアグネスデジタルの両馬は外国産馬ですが、ステイゴールドはやはり内国産であります。こちらが裏の理由とでも言いましょうか。そう考えるとあれだけの人気を集めたステイゴールドと、サンデーサイレンスの偉大さというのが浮き彫りになってくるでしょう。サンデーサインレンス産駒を海外のバイヤーが注目し始めたのもこの辺りではなかったでしょうか(殿下の代理人サンデーサイレンス産駒とか買ってたのってこの時期だっけ?)。

そして何より、私を含む一般の競馬ファンに衝撃を与えたのは「その当時の最強馬が遠征せずとも十分に闘える」ということを示したことでしょうか。


今年は日本側の意識が更に変わる一年であろうというのは、ディープインパクト凱旋門賞遠征が発表された時点で、ある程度予測できたと思います。02年のドバイに遠征するはずだったクロフネ、同じく04年のドバイにタニノギムレットが行くという話はありましたが、どちらも故障のために遠征が叶わなかったことは記憶に新しいでしょう。06年は世代を、いや、ここ数十年に一頭という名馬を得ての遠征が実現したことです。そしてまたそのディープインパクトに土をつけたハーツクライが遠征したというのもあります。「ここで勝てなかったらいつ勝てるんだ」という空気が蔓延していたのも事実です。では、今年の海外遠征を振り返ってみます。

今年のG1勝利というのはDubai Sheema Classic(UAE-G1 T2400m), Singapore Airlines International C.(SIN-G1 T2000m), Melborne C.(AUS-G1 T3200m)という3つのものでした。この3つのレースはそれぞれのカテゴリにおいて重要な一戦であったこと(メルボルンカップなんざその路線のトップであるわけですし)に疑いの余地はありません(シンガポールだけは今年はちょっと面子が、という感じでしたが)。それに加えてPrix de l'Arc de Triomphe(FRA-G1 T2400m), King George IV & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)での両3着(前者は失格ですが)がありました。ディープインパクトハーツクライの2頭をして勝てなかったということはある意味諦めがつくというところでしょう。

というのが一般的な見解なんだろうなと思います。頂上のレースなんてのはその年にめちゃ強いのがいるかいないかという面が大きいわけでして、問題はそれ以外のレース。「勝てるレースをどれだけ落とさなかったか」というところに尽きるのではないかと考えています。そして今年はそれが素晴らしい。ダンスインザムードのCash Call Mile(USA-G3 T8f:来年はG2だしもう数年でG1になるのは間違いないレース), アサヒライジングのAmerican Oaks(USA-G1 T10f)での2着、ユートピアGodolphin Mile(UAE-G2 D1600m)での勝利もそうです。先に挙げてしまいましたがMelborne C., Singapore Airlines International C.での2勝というのも「日本で最高のお馬さんが挑んだのではない」というのがわかっていながら「人気に推されて勝った」というのが非常に大きいのです。事実、この2勝は現地で2番人気(1番人気は角居師が吹いたのでアイポッパー(←勿論ポップロックの間違い)でしたが)、3番人気に推されていたはずです。前者はハンデ戦であるために少々人気面での評価が微妙になってきますが、そこは「日本産馬によるワンツー」というのを評価したい。Hong Kong C.(HK-G1 T2000m)でのアドマイヤムーンの6番人気2着も「Prideには勝てるわけないか」と考えてしまえばまたきっちりと走ったと考えられます。

日本馬が海外で評価されるということは「内国産馬で単発ではなく恒常的に強い」ということを認識させることが重要であります。そして、生産における血統というのが欧米の主流とは少々異なる(サンデーサイレンスがいるってのが一番なんだけど)という現状において、海外諸国に「どれだけ内国産馬でやれるか」を評価させること、そしてまた「勝つべくして勝った」と認識させられたことに重きをおきたいと考えます。じゃないと生産者の目が向かず、パート1国になったと言っても形骸化してしまうだけになるでしょう。こういったことから今年の遠征は実のあるものであったのではないか、と考えます。

と勢いだけで書いたエントリでごめんなさい。